フリーランス新法 対応ガイド
2024年11月1日に施行されたフリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)について、業務委託を発注する企業に求められる主な義務と、実務での進め方を整理しました。
フリーランス新法とは
フリーランス新法は、正式名称を「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といい、2024年11月1日に施行されました。従業員を使用しない個人事業主や、一人の代表者以外に役員がなく従業員も使用しない法人(特定受託事業者)との取引の適正化と、就業環境の整備を目的とした法律です。
規制の対象になるのは、フリーランスに業務を委託する発注側の事業者です。発注事業者の規模や取引期間に応じて、課される義務の範囲が変わります。所管は公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省です。
なお、規模要件を満たす事業者間の委託取引には、2026年1月施行の取適法(旧下請法)が関係します。詳しくは「取適法(旧下請法)対応ガイド」をご覧ください。取適法の正式名称や下請法との違いも同ページで整理しています。業務委託の管理全体の基本については「業務委託管理プラットフォームとは」で解説しています。
発注企業に求められる主な義務
- 取引条件の明示:業務委託をしたら直ちに、給付の内容・報酬の額・支払期日などを書面または電磁的方法で明示する。
- 報酬の支払期日:成果物などを受け取った日から起算して60日以内のできる限り短い期間で支払期日を定め、期日内に支払う。起算日(受領日か検収日か)や月末締め翌月末払いの可否など、数え方の実務は「フリーランス新法の支払期日60日ルール」で詳しく解説しています。
- 継続的な業務委託の中途解除・不更新の予告:一定期間以上続く業務委託を解除・不更新とする場合は、原則として30日前までに予告する。フリーランスから求められたときは理由を開示する。
- 募集情報の的確表示、育児介護等への配慮、ハラスメント対策に係る体制整備。
実際に適用される義務は、発注側が特定業務委託事業者に当たるか、取引が継続的かなどの条件によって異なります。特定業務委託事業者とは、特定受託事業者に業務委託をする事業者のうち、個人の場合は従業員を使用する者、法人の場合は二以上の役員がいるか従業員を使用する者です(従業員ゼロでも役員が2人以上いる法人は該当します)。取引条件の明示はすべての業務委託事業者の義務ですが、報酬の支払期日や継続的委託の予告などは特定業務委託事業者に課されます。自社の取引区分ごとに、どの義務が課されるかを確認しておくことが大切です。
特に見落としやすい「継続業務の終了予告」
見落とされやすいのが、6か月以上継続する業務委託を終了・不更新とする際の「30日前予告」です。委託先のパートナーや契約が増えるほど、それぞれの更新サイクルと予告期限の管理は属人的になりがちで、メールやExcelでの運用では抜け漏れが起きやすくなります。
フリーランス新法への対応方法(実務チェックリスト)
新法対応は「どの取引に・どの義務がかかるか」の整理から始めると迷いません。業務委託を発注する企業が、フリーランス新法に対応するための実務手順をチェックリストにまとめました。
- 委託先の棚卸し:発注先が特定受託事業者(従業員を使用しない個人事業主や、一人の代表者以外に役員がなく従業員も使用しない法人)かどうかを一覧化する。事業者間の委託取引には取適法(旧下請法)の基準もあわせて確認する。
- 取引条件の明示手段を整備:給付の内容・報酬の額・支払期日など、明示が求められる項目を満たした発注書・契約書のテンプレートを用意し、書面または電磁的方法で明示できる体制を整える。
- 支払期日の点検:報酬の支払期日が「受領から60日以内のできる限り短い期間」になっているかを契約ごとに確認し、支払サイトが長い取引は見直す。締め支払いや休業日順延の扱いは「支払期日60日ルールの実務解説」を参照。
- 継続委託の台帳整備:6か月以上続く業務委託を洗い出し、更新サイクルと中途解除・不更新時の「30日前予告」の期限を管理できるようにする。
- 社内体制の整備:募集情報の的確表示、育児介護等への配慮、ハラスメント対策の相談体制など、就業環境に関する義務への対応を人事・法務と確認する。
- 記録の保存:明示した取引条件や予告のやりとりを、後から確認できる形で残す運用を決める。
なお、2026年1月には取適法(旧下請法)も施行されており、発注先の構成によっては両方の法律への対応が必要です。取適法側の対応ポイントや用語の定義は「取適法に関するよくある質問」、これまでの下請法対応の見直し手順は「下請法対応を取適法対応に切り替える実務手順」で解説しています。判断に迷う場合の公的な相談先は「取適法・振興法について企業が相談できる窓口」にまとめました。
フリーランス新法のガイドライン一覧
対応にあたって参照すべき公的な一次情報は、次のとおりです。解釈に迷う点は必ず原典で確認してください。
- 法律の条文:「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)。e-Gov法令検索で全文を確認できます。
- 公正取引委員会の特設ページ:法律の考え方を示す解釈ガイドライン、Q&A、パンフレットなどの公式資料が公正取引委員会のフリーランス法特設ページにまとまっています。義務の詳細や具体例はここが起点になります。
- 就業環境の整備に関する資料:募集情報の的確表示、育児介護等への配慮、ハラスメント対策など、就業環境まわりの義務は厚生労働省が所管しており、指針・リーフレットが公表されています(上記特設ページからも参照できます)。
- 取適法(旧下請法)のガイドライン:事業者間取引に適用される取適法の運用基準・Q&Aは別に公表されています。「取適法のガイドラインにはどんなものがある?」で整理しています。
インボイス制度との関係
業務委託の請求管理では、インボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応も避けて通れません。取引先が適格請求書発行事業者であれば、適格請求書(インボイス)の要件を満たした請求書のやりとりが必要です。登録していない事業者は適格請求書を発行できませんが、その仕入れについて経過措置の適用を受ける場合は、区分記載請求書と同様の事項が記載された請求書等の保存が必要になります。委託先ごとにこの判定を手作業で行うと、経理の負担とミスの原因になります。
「Sync Star 業務委託管理」での進め方
「Sync Star 業務委託管理」は、業務委託のパートナー登録・契約・発注・稼働報告・請求・更新を一つのワークフローに集約するサービスです。新法・インボイスまわりの実務は、次のように画面の流れの中で支援します。
- 契約の明示事項や、終了時の予告などの期限管理をサポートし、リスクの見落としを防ぎます。
- 6か月以上の継続業務での終了予告期限を画面でご案内します。
- 更新/不更新の判断や、予告の送付・到達日を社内記録として残せます。
- 取引先の登録番号の有無に応じて、請求書の表示形式を自動で切り替えます。
法対応の機能はトップページの「法対応」セクションでも紹介しています。よくあるご質問はFAQもあわせてご覧ください。
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※ 本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。フリーランス新法・インボイス制度の最新かつ正確な内容は、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省・国税庁などの公表資料をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
最終更新: 2026年8月
